
Frescoとは
Frescoはipadで使うことのできる、絵を描くことのできるモバイルアプリです。ipad proで使っているので、Apple pencilを使い、線の太さを自在に変えることができます。また、PSD形式のファイルを読み書きできるので、Creative cloudを通してデスクトップ版のPhotoshopで読み込むことができます。Frescoはクラウドドキュメントというクラウド上にしか保存できません。Photoshop 2020ではクラウドドキュメントから直接、読み書きできるので手間なく作業することができます。
ライブブラシ
Frescoの特徴であるライブブラシを見てみましょう。 ライブブラシに水彩ブラシと油彩ブラシがあります。水彩ブラシは透明水彩と同じように水を含ませて紙の上で混色したりぼかしたりすることができます。油彩ブラシは油絵のようにキャンバスの上で混色することができます。Adobe Senseiの技術を使っているそうです。
タッチショートカット
丸いタッチショートカットを押しながらライブブラシを使うと、水彩ブラシでは水筆になります。油彩ブラシではドライブラシになります。水筆は絵具をブラシに含ませないで水だけを含ませ画面上の絵具を滲ませたり伸ばしたりすることができます。ドライブラシはブラシに絵具を含ませずに描きます。油絵具はかなり粘度があるので絵具が混じったり、引き伸ばすことによりブラシの跡が残ったりします。サンプルを作ってテストしてみるとよく特徴が再現されています。実際に絵具を使って水彩紙に描くと、絵具の顔料の特徴だとか水彩紙の特徴という物性による差までとはいきませんが。水を水彩紙にたっぷりと含ませてブラシで色を塗って、また違う色を上に塗り、水彩紙の上で色が混じりあうということが十分に電子機器の上で再現されています。
水彩ブラシでのテスト
左は水彩ブラシで青と赤を一部重ねるように塗って作ったサンプルです。重なった部分は青と赤が混じって紫色になっています。グラデーションが付いていて青に近い部分はより青に近い紫色になり、赤に近い部分はより赤に近い紫色になっています。
右は左のサンプルにタッチショートカットを押しながら水筆でブラシしています。色を含ませていないので水で伸ばしたように先に行くほど薄くなります。

油彩ブラシでのテスト
油彩ブラシでも同じように青と赤をキャンバス上に塗って一部が重なるようにしたサンプルを作ってみました。油絵の特徴が再現されています。水彩ブラシでは色が混ざり合っている部分は明るい紫で中間の色になりますが、油彩ブラシでは濁った暗い紫になっています。透明水彩絵具では水の量が多いほど広範囲に混ざり合います。油絵具は粘度が高いので混ざり合う量も少なくなっています。これらのことが再現されています。
右は左のサンプルをタッチショートカットを押しながらドライブラシで描いで絵具を伸ばしています。粘度のある絵具が混ざり合っているところや、ブラシの跡が残るなど油絵の特徴が再現されています。

さいごに
Frescoはまだ公開されたばかりのアプリケーションです。今後、XDと同様に頻繁にバージョンアップされるのではないでしょうか。上の2枚のサンプルはipadのFrescoで作成してPSDファイルで出力し、Creative cloud経由でデスクトップ版のPhotoshopで読み込み文字を入れています。また、キャンバスサイズを横幅720ピクセルに変更しました。
Frescoにない機能はPhotoshopを使うことで変更や調整することができます。アイキャッチ画像はFrescoで作成しましたが、Photoshopで作った自作のブラシを利用しています。
機能が限定されているので覚えやすいのは良い点です。
Frescoてなに
イタリア語の辞書 伊和中辞典 第二版 によると 生乾きのしっくい壁(フレスコ画を描く下地)がFrescoの意味です。形容詞だと「生乾きの」という意味になり、新鮮な フレッシュという言葉とつながりそうです。フレスコ画法は教会堂の絵に数多く用いられています。代表的な作品はミケランジェロによってバチカン宮殿システィーナ礼拝堂に描かれた天井画です。しっくいが乾燥すると描けないので一日に描ける分だけしっくいを塗って水性の絵具で描いていきます。しっくいが乾燥すると表面に透明な膜ができるので絵具が定着します。